「違国日記」これはあなたの、私の、彼の物語

違国日記 作品紹介

みなさんこんにちは。管理人のmiri(㍉)です。

今回紹介するのは、

人見知りな小説家とその姉の遺児

2人の共同生活と成長、葛藤を描いた漫画「違国日記です。

筆者自身、何度も読み返している作品ですが、記事にするまでにとても時間がかかりました。

この作品は、物語を紡ぐ言葉のひとつひとつが繊細で、心に深く響いてきます。

ページをめくり、物語が進むたびに感情が揺さぶられ、記事を書く手が止まります。

大好きで大切な作品だから、みなさんに紹介するのにもエネルギーが必要でした。

そんな特別な思い入れのある漫画
「違国日記」です。

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作品情報

違国日記


タイトル:違国日記(イコクニッキ)
【☐小説 ☒漫画 ☐アニメ】
・全8巻(2022年1月現在)
・FEEL YOUNG(祥伝社)にて2017年7月号から連載中

・マンガ大賞2019 第4位
・このマンガがすごい!2020オンナ編 第10位
・第7回ブクログ大賞 マンガ部門受賞

作者情報

作者:ヤマシタトモコ
・代表作:「Love, Hate, Love.」「HER」

登場人物

高代槙生(こうだい まきお)
35歳の少女小説家。とても人見知りで人と暮らすことが苦手だが、姉夫婦の葬式で姪の朝を引き取ることに。

田汲朝(たくみ あさ)
15歳の女子高生。人懐っこい性格。両親を交通事故で亡くし、叔母の槙生に引き取られる。

笠町信吾(かさまち しんご)
槙生の友人で元恋人。真面目でお坊ちゃまで優等生。

楢えみり(なら えみり)
朝の同級生で親友。自分の名字が嫌い。

あらすじ

高代槙生は、人付き合いが苦手な少女小説家。

家族とも疎遠がちで、姉とは特に仲が悪かった。

ある日、槙生の元に連絡が入る。
姉夫婦が交通事故で他界した。

病院に駆けつけると、槙生の母と、その傍らにはまだ15歳の姪・田汲朝がいた。

両親を亡くし、突然独りになった朝。

まだ事実を受け入れられないのか、悲しいという感情すら解からない。

いきなり訪れた「孤独」から、朝を救ったのは槙生だった。

槙生は朝に何を伝え、朝は槙生から何を感じ取るのか。

人見知りな35歳と人懐っこい15歳。
2人の共同生活が始まる。

槙生と朝の関係

叔母と姪

槙生にとって朝は、
姉の娘。幼いころに何度か実家で見かけた子供。

朝にとって槙生は、
母の妹。母から話を聞いていた”槙生ちゃん”。

槙生と朝の関係はこの「疎遠になった親戚」程度の関係でした。

朝の両親が交通事故でこの世を去るまでは。

同居人

両親を亡くし、天涯孤独になった朝。

彼女を救ったのは人付き合いが苦手な叔母・槙生です。

さらに槙生は、姉である朝の母親のことが心の底から大嫌い

それなのになぜ、朝を引き取ったのでしょうか。

それには朝がまだ15歳の少女であることが関係しています。

葬式で親戚中からたらい回しにされ、ヒソヒソと陰口を言われ、奇妙なまなざしを向けられる朝。

そんな彼女を見過ごせず、引き取ることを決意した槙生は彼女にこう言います。

あなたは 15歳の子供は
こんな醜悪な場にふさわしくない
少なくともわたしはそれを知っている
もっと美しいものを受けるに値する
―――――――――――――――ヤマシタトモコ著「違国日記」1巻より引用

15歳という多感な時期は、周囲からあらゆるものを吸収し、自分の一部を形成する時期です。

そんな年頃には、冷たい言葉や視線ではなく、美しくて人生を豊かにするような言葉を受け取るべきだと槙生は知っていたのです。

そして朝はこれから、その”美しいもの”を少女小説家である槙生からたくさん受け取ることになります。

親子ではない2人

槙生と朝の共同生活が始まってから、同じ家に帰り、同じご飯を食べ、同じ屋根の元で眠るふたり。

親子同然の長い時間を共に過ごしますが、それでも2人は「親子」ではありません。

朝は槙生のことを「親じゃない」と言い切りますし、槙生も「親にはなれない」と断言します。

心温まるような物語では、血の繋がりが無い間柄でも「親子」と表現することが良くありますが、

この「違国日記」という物語では、あえてそのような表現はしません。

そうすることで「親子」という関係がいかに特別で、切っても切り離せない強い繋がりであるかを読者に伝えています。

朝はまだ15歳で、両親と過ごした15年よりも、槙生と過ごすこれから何十年の方がずっと長いです。

それでも、両親にしか子に与えることができないものは必ずあります。

朝の親は今までも、これからも、交通事故でこの世を去った田汲夫婦だけなのです。

朝の両親に関してはまだまだ謎が多いですが、それでも2人は彼らが朝の親であった跡を大切にしているのです。

「違国日記」が与えてくれるもの

「違国日記」の登場人物たちは、誰もが各々の問題を抱えています。

そして彼女たちには必ず、救いの手を差し伸べてくれる人物がいます。

  • “普通”であることに悩む朝と、彼女を見守る槙生たち周りの大人。
  • “普通でない”ことに悩む楢えみりに、彼女の生き方を肯定する槙生。
  • 槙生の”生きにくさ”を少しでも軽くしようとする笠町信吾。

登場人物たちは、相手に寄り添い、それぞれの”答え”を導き出します。

その答えは、必ずしも”正解”とされるものではないし、”正しさ”を教えてくれるものでもありません。

ただ、彼女たちが与えてくれた答えによって、ほんの先の未来に一歩踏み出す勇気をもらうだけなのです。

そこから先は、悩みを抱えた本人が選び、進んでいきます。

この「違国日記」という物語そのものも、読者を救ってくれる登場人物です。

わたしたち読者はこの物語から”美しいもの”を受け取り、一歩踏み出す勇気をもらいます。

あとは、朝やえみりたちのように、自分の感じたものを道標に進んで行く。

「違国日記」という漫画は、そんな、読者の背中を後押ししてくれるような作品なのです。

わたしの物語

作者のヤマシタトモコさんが、単行本の帯にてこう仰っていました。

『これは私の物語だ』と思ってくださる方がいたら、その方のために描いている。
―――――――――――――――――「違国日記」著者ヤマシタトモコ

「違国日記」をはじめて読んだときから「この物語は私の話だ。」と感じていました。

その気持ちはページをめくるたびに強くなり、”私だ”と思える登場人物も増えていきました。

彼女の感覚、私と同じだ。
彼の思想、私もすごくよく解かる。
彼らがとる行動、私もよくやってしまうな。

気がつけば「違国日記」という作品は、私の過去・現在を映す「鏡」となっていました。

この作品には、さまざまな気持ち、疑問や葛藤、決意を抱えた人物が登場します。

そして、それらの気持ちは、誰もが抱えているはずなのに無意識にしまい込んでいる気持ちです。

この作品を読んで「これは私の物語だ」と感じるのは、読者の心の奥底から消化不良になっている気持ちを引き上げてくれるからなのです。

皆さんにもあるはずです。

言葉では表現できなくとも、心の中にずっとあるモヤモヤが。

その気持ち、「違国日記」を読んで消化させませんか?

あなたの物語もきっとここにありますよ。

 

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